第59章 もしかして、私が美しすぎるから?

「クズ女、なに気取ってんの?」

赤い髪の女がロリポップをくわえたまま、露骨に鼻で笑った。

「アンタ、目の前の兄貴が誰か分かってんの?」

橘結衣は、彼女が指さすタトゥーの男をちらりと見ただけで、何も言わない。

「……あー、そっか。転校してきたばっかで、武さんの名前も知らないんだ」

赤髪の女が口の端をつり上げる。

「でもさ、今日のことがあったら――嫌でも覚えるよね」

「もういい、無駄口叩くな」

タトゥーの男が獰猛な目つきで橘結衣を睨みつける。

「手ぇ出せよ。腕の時計、置いてけ」

橘結衣は微動だにしなかった。

子分が目を細め、タトゥーの男に小声で言う。

「武さん、効いてねえ...

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